FX入門〜初心者におすすめ

仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは

仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは
相続は突然やってくる! 事例でわかる相続税の生前対策

わかりやすい解説シリーズ「金融商品」 第5回:デリバティブとヘッジ会計

取引によって生じる将来のキャッシュ・フローが市場相場の変動等により影響を受ける場合、これと逆の動きをする取引をしてキャッシュ・フローの変動による影響を相殺することで、経営の安定化を図ることができます。
この対象となる取引をヘッジ対象、手段となる取引をヘッジ手段と呼びます。後者のヘッジ手段となるのがデリバティブ取引です。 仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは
ここで、ヘッジ手段であるデリバティブ取引は原則として毎期末に時価評価され、評価差額がP/Lに計上されますが、ヘッジ対象については必ずしもそうではありません。そこで、ヘッジ手段とヘッジ対象の損益計上のタイミングを合わせることによりヘッジの効果をP/Lに適切に反映させるため、ヘッジ会計という特殊な会計処理が用いられます。

方法 詳細
繰延ヘッジ
(原則的方法)
時価評価されているヘッジ手段に係る損益をヘッジ対象に係る損益が認識されるまで純資産の部で繰り延べる方法。
時価ヘッジ ヘッジ対象である資産又は負債に係る相場変動などを損益に反映させることにより、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識する方法。
(時価ヘッジのヘッジ対象としてはその他有価証券のみが考えられます。)

繰延ヘッジの例

ヘッジ対象: 商品(販売価格が相場変動の影響を受ける)
取引開始時の販売価格は500、売上原価は400とする
ヘッジ手段: 先物売契約(デリバティブの一種)

① ヘッジ会計を適用しない場合

② ヘッジ会計を適用する場合

時価ヘッジの例

ヘッジ対象: その他有価証券(時価の変動の影響を受ける)
ヘッジ手段: デリバティブ(ヘッジ対象となる有価証券の銘柄の時価とは反対の動きをするもの)

① ヘッジ会計を適用しない場合

② ヘッジ会計を適用する場合

ヘッジ取引の種類

取引 内容
公正価値ヘッジ ヘッジ対象の相場変動リスクを相殺することを目的とするヘッジ取引
(例)信用取引、株式オプション、商品先物 等
キャッシュ・フロー・ヘッジ ヘッジ対象のキャッシュ・フロー変動リスクを相殺することを目的とするヘッジ取引
(例)金利スワップ 等

ヘッジ対象・ヘッジ手段の具体例

仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは
リスク内容 ヘッジ対象 ヘッジ手段
価格変動によるリスク 株式、商品 等 信用取引、株式オプション、商品先物 等
金利変動によるリスク 金融機関からの借入金、利付債券 等 金利スワップ、金利オプション 等
為替変動によるリスク 外貨建取引(現金預金、売掛金、買掛金、借入金 等) 為替予約、通貨スワップ、通貨オプション 等

(2)ヘッジ対象

(i)既にB/Sに計上されているもの

(ii)将来履行される取引

予定取引をヘッジ対象とするための条件

a. 過去に同様の取引が行われた頻度
b. 企業が当該予定取引を行う能力(法的、制度的、資金的な能力)の有無
c. 当該予定取引を行わないことの不利益の有無
d. 同等の効果、成果を有する代替的取引がないかどうか
e. 当該予定取引発生までの期間(おおむね1年以内)の妥当性
f. 予定取引数量の妥当性

(3)ヘッジ会計の適用要件

ヘッジ会計では、ヘッジの効果をP/Lに適切に反映させるために、金融商品会計の原則的な会計処理とは異なった処理をします。さらに、行っているデリバティブ取引が、ヘッジを目的としているかどうかは、経営者の主観的な判断によります。
そのため、そもそもヘッジ取引がリスクをヘッジする効果がある(=有効性がある)ものなのか、ヘッジ取引後も継続してヘッジの効果が認められるものなのかを確認する必要があります。
具体的には以下のようにヘッジ取引開始時に事前テスト、ヘッジ取引開始後に事後テストの検討をします。

  • ヘッジ対象のリスクとヘッジ手段を明確化する 。
  • ヘッジ有効性の評価方法を正式な文書で明示する。
  • ヘッジ手段の有効性を事前に予測する。
  • ヘッジ取引時以降も継続して高い有効性が保たれていることを確認する。
  • 有効性の評価方法にはヘッジ開始時からの時価またはキャッシュ・フロー変動の比率分析等を適用する。
  • 変動比率が80%~125%の範囲内であればヘッジ対象とヘッジ手段との間に高い相関関係が認められる。
  • ヘッジの有効性の評価は決算日には必ず行い、少なくとも6ヶ月に1度実施する。

有効性評価の省略が可能なケース

a. 先渡取引がヘッジ対象となるべき予定購入と同一商品、同量、同期間、同一場所である場合
b. ヘッジ開始時の先渡契約の時価がゼロである場合
c. 先渡契約のディスカウントまたはプレミアムの変動がヘッジの有効性から除かれている場合、または予定取引のキャッシュ・フロー変動がその商品の先物価格に依存している場合
d. ヘッジの特例処理が認められる金利スワップの場合

(事前テストと事後テストの例)

ヘッジ対象: 商品(販売価額が相場変動の影響を受ける)
ヘッジ手段: 先物売契約(デリバティブの一種)

【事後テスト①】
ヘッジ対象の時価が+100、ヘッジ手段の時価が△80の変動をしているので、これらの変動比率を計算すると80/100=80%になります。変動比率が80%~125%の範囲内にあり、ヘッジ対象とヘッジ手段の間に高い相関関係が認められるため、ヘッジが有効であると判断されます。
そこで、ヘッジ手段の含み損失である△80はヘッジ対象の損益が認識されるまで繰り延べられます。

【事後テスト②】
ヘッジ対象の時価が+50、ヘッジ手段の時価が△100の変動をしているので、これらの変動比率を計算すると100/50=200%になります。変動比率が80%~125%の範囲内になく、ヘッジ対象とヘッジ手段の間に高い相関関係が認められないため、ヘッジが非有効であると判断されます。
そこで、これ以降に発生するヘッジ手段の時価の変動は損益としてP/Lに計上されます。ただし、これまでに発生したヘッジ手段の含み損失である△100はヘッジ対象の損益が認識されるまで繰り延べられます。

【ヘッジ会計中止後の決算】
ヘッジ手段の時価が△120の変動をしていますが、事後テスト②までに発生した含み損失である△100はヘッジ対象の損益が認識されるまで繰り延べられます。 仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは
一方で、事後テスト②以降に発生したヘッジ手段の時価の変動である△20はP/Lに計上されます。

項目 内容
ヘッジ会計の終了 ヘッジ対象が消滅したとき又はヘッジ対象である予定取引が実行されないことが明らかになったときは、繰り延べられていたヘッジ手段に係る損益又は評価差額を当期の損益として処理します。
ヘッジ会計の中止 ヘッジ会計の要件を満たさなくなった場合やヘッジ手段が消滅した場合は、その時点までのヘッジ手段に係る損益又は評価差額はヘッジ対象に係る損益が認識されるまで繰り延べます。

(4)金利スワップの特例処理

  • A社はX銀行から変動金利で借入れ、B社はY銀行から固定金利で借入れをしている。
  • A社は市場金利の上昇を予想し、B社は市場金利の下落を予想している。

金利スワップの特例処理の要件

関連資料を表示

わかりやすい解説シリーズ「金融商品」 一括ダウンロード

この記事に関連するテーマ別一覧

わかりやすい解説シリーズ「金融商品」

    (2012.10.08) (2012.10.15) (2012.10.22) (2013.05.24) (2013.07.23)

企業会計ナビ

企業会計ナビ

EY | Assurance | Consulting | Strategy and Transactions | Tax

About EY

EY is a global leader in assurance, consulting, strategy and transactions, and tax services. The insights and quality services we deliver help build trust and confidence in the capital markets and in economies the world over. We develop outstanding leaders who team to deliver on our promises to all of our stakeholders. In so doing, we play a 仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは critical role in building a better working world for our people, for our clients and for 仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは our communities.

EY refers to the global organization, and may refer to one or more, of the member firms of Ernst & Young Global Limited, each of which is a separate legal entity. Ernst & Young Global Limited, a UK company limited by guarantee, does not provide services to clients. For more information about our organization, please visit ey.com.

© 2020 EYGM Limited. All Rights Reserved.

This material has been prepared for general informational purposes only and is not intended to be relied upon as accounting, tax, or other professional advice. Please refer to your advisors for specific advice.

EY.comへようこそ

本ウェブサイトを運用する上で不可欠なクッキーに加え、利用者の利便性とEYのサービス向上のために、次の種類のクッキーを使用しています。機能性クッキー:利用者の操作性を向上させるために使用します(例:選択した設定の記憶)。パフォーマンスクッキー:ウェブサイトのパフォーマンスを測定し、利用者のサイト上での利便性を向上させるために使用します。広告/ターゲティングクッキー:広告キャンペーンを行う第三者の広告サービス提供者により設定されるもので、利用者に関連性の高いコンテンツを提供することができます。

仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは?その仕組みと種類をわかりやすく解説

グローバル金融市場は、地球上で最も収益性の高い産業の一つです。 一部は同意しませんが、金融市場が資本を調達し、低価格で供給を確保し、信用を商品としてどのように繁盛さ「デリバティブ」という言葉は、過去数十年間で確実にその知名度を高めてきました。日本語では一般的に「金融派生商品」などと訳されますが、”ある原資産から二次的に発生する商品” という意味で、漢字にすると少々わかりにくいと感じるかもしれません。しかし、デリバティブの仕組みと種類を噛み砕いて見ていくと、実は非常にシンプルなことが分かります。端的に言えば、あらかじめ取引におけるリスクを下げたり、逆にあえてリスクを高めて、原資産以上の収益性を目指すことを目的として編み出されたのがデリバティブなのです。

  • 少ない資金で始められる
  • レバレッジを使用して高い収益を目指すことができる

デリバティブ取引とは?

デリバティブ取引とは、将来の特定の「日時」、「価格」で原資産を売買することを、二者間(買い手と売り手)であらかじめ約束する契約形態です。デリバティブの種類には、『先物(フューチャー)』『先渡(フォワード)』『オプション』『無期限(永久スワップ)』などがあり、仮想通貨取引にも適用されます。

デリバティブ取引について深く知るためには、まずこうしたデリバティブの定義をきちんと理解することが大切です。デリバティブとは、原資産を将来の日時・価格で売買するために、売り手と買い手の間で交わされる “約束” なのだと覚えておきましょう。

Crypto derivatives exchanges report

デリバティブ取引と現物取引の違い

現物取引は「スポット取引」とも呼ばれますが、その名の通り、現在の市場価格に基づいて資産を ”その場で(on spot)” 取引する仕組みです。取引の決済は、一般的に取引日から2営業日以内に行われます。

  • 売買する資産:ビットコイン取引に置き換えて考えてみます。現物市場では、トレーダーは実際にビットコインを保有し、それを元手として売買をします。つまり売買を行う際は、お金と現物(ビットコイン)をシンプルに交換する形になるということです。一方、デリバティブ市場では、トレーダーが実際に手元にビットコインを持っていなくとも、売買契約を結ぶことができます。この場合、先物やオプション、無期限などの手法を用いて、「手元にこれだけの資産がある」という仮定に基づき取引を行います。
  • 資産価格:現物取引では、トレーダーは現在の市場価格で資産を売買します。一方、デリバティブ取引は、現在の価格でなく、あらかじめ決められた「将来の予想価格」をもとに契約を結びます。先物取引を例に挙げると、結んだ契約が満期(決済日)を迎えた際、買い手は売り手から原資産を買い取る義務があります。この場合、前もって約束した「将来の予想価格」と「現在の市場価格」の差によって、売り手か買い手のどちらかに利益が出るという仕組みです。
  • 決済日:現物取引は、基本的に2日以内に決済されます。一方、デリバティブ取引は、あらかじめ約束された将来の特定の日時に決済を行います。しかし、仮想通貨デリバティブ取引では、デリバティブ市場に流動性をもたらすために、決済日前であっても仮想通貨または現金による決済を実行するものが多く、Bybitの「無期限契約」もこれにあたります。一般的な先物契約では、デリバティブの基本の仕組みに沿って、いかなる契約も期間満了のタイミングで決済されるというルールがあります。(※先物契約でも、満期を迎える前に、双方の合意の下で売買することは可能です)

デリバティブ取引の種類

Futures contract

先物取引(フューチャー)

先渡取引(フォワード)

オプション取引

  • コールオプション:あらかじめ決めた行使価格で「商品を買う権利」です。将来価格が上昇してしまう恐れがある場合は、コールオプションを購入します。
  • プットオプション:あらかじめ決めた行使価格で「商品を売る権利」です。売却を考えているけれど、将来価格が下がってしまう恐れがある場合、プットオプションを購入します。

Perpetual contracts

無期限契約

デリバティブ応用編:仮想通貨取引でどう使う?

保有ポジションのヘッジ

今後の値動きのモニタリング

  • レバレッジ(証拠金取引):デリバティブ取引は少額から始められ、レバレッジを使用すればさらに利益率を高めることができます。
  • 低額の手数料:デリバティブ取引では、注文コストや取引手数料が低く設定されています。
  • 価格変動リスクの軽減:ボラティリティの高い仮想通貨だからこそ、あらかじめ将来の取引価格(行使価格)を決めておくことで、価格変動によってもたらされるリスクを減らすことができます。
  • ヘッジ:資産の保護という観点から、デリバティブは効果的なリスク管理ツールとなります。ヘッジポジションを建てることで、将来の損失リスクに備え、うまく対応できます。
  • 投資戦略の多様化:デリバティブ取引には様々な利点があり、取引戦略の多様化を可能にします。「リスク管理」と「収益向上」を目的として設計されているため、組み合わせることで最適な投資戦略をカスタマイズすることもできます。
  • 高い流動性:デリバティブ市場の流動性は非常に高いです。ある調査によると、2020年5月には、仮想通貨デリバティブの日次取引高は6000億ドルを超えており、この勢いは機関投資家の参入という追い風を受けてさらに増しています。流動性の高い市場だからこそ、最適な価格で約定し、利益を最大化する機会も多くなります。

仮想通貨デリバティブ取引を行う注意点

ハイリスク:デリバティブ取引はレバレッジをかけて、手持ちの資産以上の取引を行うことができます。このため、強制決済のリスクも高まります。例えば、トレーダーがビットコイン先物を50,000ドルで購入し、レバレッジを使って10ビットコイン分をショートしたとします。この場合、1ビットコイン=48,000ドルまで下落してしまうと、トレーダーはポジションに対して10倍にあたる20,000ドルの損失を受けることになります。

相対取引(OTC)のリスク:OTCデリバティブの場合、取引所を介して取引が行われるわけではなく、買い手と売り手が個別に契約を結びます。そのため、取引相手に関する十分な調査を行うことができません。契約が遵守されるのかというリスクを常に孕んでいることを理解し、注意しながら取引を進める必要があります。

規制強化:世界のすべての国や地域でデリバティブ取引が合法化されているわけではありません。先物契約や無期限契約を行う際は、デリバティブ取引が法律で認められているかをしっかり確認しましょう。場合によっては契約が履行されず、損失を被るケースもあります。

仮想通貨デリバティブを活用するトレーダー

  • ハイリスク・ハイリターン:高いレバレッジをかけて、高い収益を追求するタイプの仮想通貨デリバティブ取引は、「ハイリスク・ハイリターン」を好むトレーダーに適しています。リスクをなるべく避け、慎重に投資したい場合には、低いレバレッジで取引を行うことを推奨します。
  • 市場分析:デリバティブ取引は、手持ちの証拠金と市場に対する知識量に左右される部分があります。そのため、テクニカル分析やファンダメンタル分析に精通しているトレーダーは、デリバティブ取引を自身の投資戦略にうまく利用しています。特に仮想通貨市場は様々な要因が価格に影響を与えるので、最新の市場動向は常にチェックしなければなりません。
  • 仮想通貨市場への理解:仮想通貨市場は従来型の金融とは違い、ブロックチェーンなどの最先端技術・システムの発展が市場動向に影響を及ぼします。この点では、仮想通貨デリバティブのトレーダーは市場分析に加えて、最新のプロジェクトや仮想通貨業界を取り巻く規制などに関しても常にアンテナを張っておくことが大切です。

機関投資家:機関投資家は、市場分析の独自ツールやリソースを保有しているため、仮想通貨のデリバティブ取引を行う上では理想的な立場にあります。機関投資家は、高いレバレッジを活用して利益を追求したり、ヘッジポジションなどの戦略を活用して取引リスクを調整したりすることに長けています。

マイナー(採掘者)または仮想通貨スタートアップ:ビットコインやアルトコインの採掘に携わるマイナーにとって、デリバティブへの投資は理にかなっています。マイニングの競争は激化しており、以前に比べて収益を得ることは難しくなっています。ここで、先物のようなデリバティブ取引でヘッジすれば、マイナーは収入源を拡大することができますし、資産の保護にもつながります。同様に、仮想通貨建て資産を用いるブロックチェーンプロジェクトや仮想通貨スタートアップも、リスク管理にデリバティブを利用することができます。

プロトレーダー:仮想通貨市場に造詣が深く、テクニカル分析やファンダメンタル分析を得意とするトレーダーもデリバティブ取引に向いています。市場動向をチェックしながら、投資戦略を立てていくことが不可欠です。

仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは?その仕組みと種類をわかりやすく解説

グローバル金融市場は、地球上で最も収益性の高い産業の一つです。 一部は同意しませんが、金融市場が資本を調達し、低価格で供給を確保し、信用を商品としてどのように繁盛さ「デリバティブ」という言葉は、過去数十年間で確実にその知名度を高めてきました。日本語では一般的に「金融派生商品」などと訳されますが、”ある原資産から二次的に発生する商品” 仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは という意味で、漢字にすると少々わかりにくいと感じるかもしれません。しかし、デリバティブの仕組みと種類を噛み砕いて見ていくと、実は非常にシンプルなことが分かります。端的に言えば、あらかじめ取引におけるリスクを下げたり、逆にあえてリスクを高めて、原資産以上の収益性を目指すことを目的として編み出されたのがデリバティブなのです。

  • 少ない資金で始められる
  • レバレッジを使用して高い収益を目指すことができる

デリバティブ取引とは?

デリバティブ取引とは、将来の特定の「日時」、「価格」で原資産を売買することを、二者間(買い手と売り手)であらかじめ約束する契約形態です。デリバティブの種類には、『先物(フューチャー)』『先渡(フォワード)』『オプション』『無期限(永久スワップ)』などがあり、仮想通貨取引にも適用されます。

デリバティブ取引について深く知るためには、まずこうしたデリバティブの定義をきちんと理解することが大切です。デリバティブとは、原資産を将来の日時・価格で売買するために、売り手と買い手の間で交わされる “約束” なのだと覚えておきましょう。

Crypto derivatives exchanges report

デリバティブ取引と現物取引の違い

現物取引は「スポット取引」とも呼ばれますが、その名の通り、現在の市場価格に基づいて資産を ”その場で(on spot)” 取引する仕組みです。取引の決済は、一般的に取引日から2営業日以内に行われます。

  • 売買する資産:ビットコイン取引に置き換えて考えてみます。現物市場では、トレーダーは実際にビットコインを保有し、それを元手として売買をします。つまり売買を行う際は、お金と現物(ビットコイン)をシンプルに交換する形になるということです。一方、デリバティブ市場では、トレーダーが実際に手元にビットコインを持っていなくとも、売買契約を結ぶことができます。この場合、先物やオプション、無期限などの手法を用いて、「手元にこれだけの資産がある」という仮定に基づき取引を行います。
    仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは
  • 資産価格:現物取引では、トレーダーは現在の市場価格で資産を売買します。一方、デリバティブ取引は、現在の価格でなく、あらかじめ決められた「将来の予想価格」をもとに契約を結びます。先物取引を例に挙げると、結んだ契約が満期(決済日)を迎えた際、買い手は売り手から原資産を買い取る義務があります。この場合、前もって約束した「将来の予想価格」と「現在の市場価格」の差によって、売り手か買い手のどちらかに利益が出るという仕組みです。
  • 決済日:現物取引は、基本的に2日以内に決済されます。一方、デリバティブ取引は、あらかじめ約束された将来の特定の日時に決済を行います。しかし、仮想通貨デリバティブ取引では、デリバティブ市場に流動性をもたらすために、決済日前であっても仮想通貨または現金による決済を実行するものが多く、Bybitの「無期限契約」もこれにあたります。一般的な先物契約では、デリバティブの基本の仕組みに沿って、いかなる契約も期間満了のタイミングで決済されるというルールがあります。(※先物契約でも、満期を迎える前に、双方の合意の下で売買することは可能です)

デリバティブ取引の種類

Futures contract

先物取引(フューチャー)

先渡取引(フォワード)

オプション取引

  • コールオプション:あらかじめ決めた行使価格で「商品を買う権利」です。将来価格が上昇してしまう恐れがある場合は、コールオプションを購入します。
  • プットオプション:あらかじめ決めた行使価格で「商品を売る権利」です。売却を考えているけれど、将来価格が下がってしまう恐れがある場合、プットオプションを購入します。

Perpetual contracts

無期限契約

デリバティブ応用編:仮想通貨取引でどう使う?

保有ポジションのヘッジ

今後の値動きのモニタリング

  • レバレッジ(証拠金取引):デリバティブ取引は少額から始められ、レバレッジを使用すればさらに利益率を高めることができます。
  • 低額の手数料:デリバティブ取引では、注文コストや取引手数料が低く設定されています。
  • 価格変動リスクの軽減:ボラティリティの高い仮想通貨だからこそ、あらかじめ将来の取引価格(行使価格)を決めておくことで、価格変動によってもたらされるリスクを減らすことができます。
  • ヘッジ:資産の保護という観点から、デリバティブは効果的なリスク管理ツールとなります。ヘッジポジションを建てることで、将来の損失リスクに備え、うまく対応できます。
  • 投資戦略の多様化:デリバティブ取引には様々な利点があり、取引戦略の多様化を可能にします。「リスク管理」と「収益向上」を目的として設計されているため、組み合わせることで最適な投資戦略をカスタマイズすることもできます。
  • 高い流動性:デリバティブ市場の流動性は非常に高いです。ある調査によると、2020年5月には、仮想通貨デリバティブの日次取引高は6000億ドルを超えており、この勢いは機関投資家の参入という追い風を受けてさらに増しています。流動性の高い市場だからこそ、最適な価格で約定し、利益を最大化する機会も多くなります。

仮想通貨デリバティブ取引を行う注意点

ハイリスク:デリバティブ取引はレバレッジをかけて、手持ちの資産以上の取引を行うことができます。このため、強制決済のリスクも高まります。例えば、トレーダーがビットコイン先物を50,仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは 000ドルで購入し、レバレッジを使って10ビットコイン分をショートしたとします。この場合、1ビットコイン=48,000ドルまで下落してしまうと、トレーダーはポジションに対して10倍にあたる20,000ドルの損失を受けることになります。

相対取引(OTC)のリスク:OTCデリバティブの場合、取引所を介して取引が行われるわけではなく、買い手と売り手が個別に契約を結びます。そのため、取引相手に関する十分な調査を行うことができません。契約が遵守されるのかというリスクを常に孕んでいることを理解し、注意しながら取引を進める必要があります。

規制強化:世界のすべての国や地域でデリバティブ取引が合法化されているわけではありません。先物契約や無期限契約を行う際は、デリバティブ取引が法律で認められているかをしっかり確認しましょう。場合によっては契約が履行されず、損失を被るケースもあります。

仮想通貨デリバティブを活用するトレーダー

  • ハイリスク・ハイリターン:高いレバレッジをかけて、高い収益を追求するタイプの仮想通貨デリバティブ取引は、「ハイリスク・ハイリターン」を好むトレーダーに適しています。リスクをなるべく避け、慎重に投資したい場合には、低いレバレッジで取引を行うことを推奨します。
  • 市場分析:デリバティブ取引は、手持ちの証拠金と市場に対する知識量に左右される部分があります。そのため、テクニカル分析やファンダメンタル分析に精通しているトレーダーは、デリバティブ取引を自身の投資戦略にうまく利用しています。特に仮想通貨市場は様々な要因が価格に影響を与えるので、最新の市場動向は常にチェックしなければなりません。
  • 仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは
  • 仮想通貨市場への理解:仮想通貨市場は従来型の金融とは違い、ブロックチェーンなどの最先端技術・システムの発展が市場動向に影響を及ぼします。この点では、仮想通貨デリバティブのトレーダーは市場分析に加えて、最新のプロジェクトや仮想通貨業界を取り巻く規制などに関しても常にアンテナを張っておくことが大切です。

機関投資家:機関投資家は、市場分析の独自ツールやリソースを保有しているため、仮想通貨のデリバティブ取引を行う上では理想的な立場にあります。機関投資家は、高いレバレッジを活用して利益を追求したり、ヘッジポジションなどの戦略を活用して取引リスクを調整したりすることに長けています。

マイナー(採掘者)または仮想通貨スタートアップ:ビットコインやアルトコインの採掘に携わるマイナーにとって、デリバティブへの投資は理にかなっています。マイニングの競争は激化しており、以前に比べて収益を得ることは難しくなっています。ここで、先物のようなデリバティブ取引でヘッジすれば、マイナーは収入源を拡大することができますし、資産の保護にもつながります。同様に、仮想通貨建て資産を用いるブロックチェーンプロジェクトや仮想通貨スタートアップも、リスク管理にデリバティブを利用することができます。

プロトレーダー:仮想通貨市場に造詣が深く、テクニカル分析やファンダメンタル分析を得意とするトレーダーもデリバティブ取引に向いています。市場動向をチェックしながら、投資戦略を立てていくことが不可欠です。

【わかりやすく解説】デリバティブ取引とは? 先物などの投資商品の種類と失敗しないリスク対策とは

デリバティブ取引

(2)債券を原資産とするデリバティブ取引
債券を原資産とするデリバティブ取引は仕組債と呼ばれ、リバース・フローター債やCMS債など色々な商品がある。たとえばリバース・フローター債は、クーポン(利息)が市中金利とは逆の動きをする仕組債だ。金利低下時に受け取れる利息が増えるため、市中金利の下落を予測する投資家にとっては有効な投資先となる。ただし、予想に反し市中金利が上昇した場合は、受け取れる利息が減少する点には注意が必要だ。なお、金利上昇時には債券価格の下落による含み損が発生するが、満期まで保有すれば満額償還されるため元本割れは避けられる。

(3)株式を原資産とするデリバティブ取引
カバード・ワラントは、株式を原資産とするデリバティブ取引の1つ。原資産を一定の期日(権利行使日)に特定の価格(権利行使価格)で買い付ける権利(コール)もしくは、売りつける権利(プット)を証券化した金融商品だ。権利行使価格と実際の株価の差額や、途中売買による差益を狙って投資を行う。値動きの幅が大きくハイリスク・ハイリターンな商品のため、少額からスタートするとよいだろう。

(4)商品を原資産とするデリバティブ取引
商品先物取引および商品先物オプションは、商品を原資産とするデリバティブ取引の1つ。先物取引とオプション取引の詳細は、2.1.で解説する。

(5)通貨を原資産とするデリバティブ取引

1.3. デリバティブの特徴:取引に制限がある。少額で取引を始められる

1.4. デリバティブの利用方法

・デリバティブ取引の利用法1:ヘッジング
デリバティブ取引の利用方法の1つめは、ヘッジング(リスク回避)だ。投資における一番のリスクは、価格変動による損失の発生ではないだろうか。株価や為替、金利などの将来の動きは、誰も的中させることはできない。そのため、投資した資産が予想外の値動きをすると、損失を被ってしまう可能性があるのである。

・デリバティブ取引の利用法2:スペキュレーション
デリバティブ取引の利用方法の2つめは、スペキュレーション(投機)だ。あくまでも投資方法の1つであるデリバティブ取引は、その売買により利益を狙うことが可能である。デリバティブ取引によるスペキュレーションを行う最大のポイントは、資金効率の良さだ。デリバティブ取引は、少ない元手で大きな取引ができる特徴がある。そのため、投資できる余裕資金が少ない人でも、大きなリターンを狙うことができる。

2. 5種類のデリバティブ取引

2.1. 主なデリバティブ取引

・デリバティブ取引の種類1:先物取引
先物取引とは、「将来のあらかじめ定められた期日」に「特定の商品(原資産)」を「現時点で取り決めた価格」で取引をすること。詳細は、以下のとおりだ。

▽先物取引の特徴

デリバティブ取引の先物取引の特徴 詳細
[1]取引の期日が決まっている ・先物取引は期日内であればいつでも取引できる
・期日を過ぎると自動的に決済され、損益が確定する
[2]決済は差金(差額)の受け渡しで行われる ・先物取引の決済は、買建(または売建)価格と転売(または買戻)価格との差額を受け渡して行われる
・商品の受け渡しはせず、損益のやり取りのみで取引が成立するため、少額からの投資が可能
・買いだけでなく、売りからでも取引が成立する
[3]証拠金(担保)の預託が必要 ・商品代金の受け渡しがない先物取引では、証拠金(担保)を預託して取引を行う
・証拠金にはレバレッジ効果があるため、少ない元手で大きな額の取引が可能。たとえば最大レバレッジが5倍の場合に10万円の証拠金を預託すると、50万円までの取引が可能となる

・デリバティブ取引の種類2:オプション取引
オプション取引とは、「将来のあらかじめ定められた期日」に「特定の商品(原資産)」を「現時点で取り決めた価格で売買する権利」を取引すること。

▽オプション取引における4つの立場

仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは
コール(買い付ける権利 プット(売り付ける権利)
買い手 コールの買い プットの買い
売り手 コールの売りプットの売り

・デリバティブ取引の種類3:スワップ取引
スワップ取引とは、「ある一定期間」に渡り「将来のキャッシュフロー」を「交換する」取引のこと。キャッシュフローは、少なくとも約定時に等価であることが前提である。

▽代表的なスワップ取引例と特徴

スワップ取引例 特徴
[1]金利スワップ ・同一通貨間で異なる金利のキャッシュフローを交換する取引
・一般的な金利スワップは、固定金利と変動金利で交換される
[2]通貨スワップ ・異なる通貨間で異なる金利のキャッシュフローを交換する取引
・取引開始時および満期時に元本の交換が行われる
[3]クーポンスワップ ・通貨スワップの1つだが、元本の交換は行われず、金利部分のみが交換される
[4]エクイティスワップ ・株価と連動したキャッシュフローと、事前に取り決めた金利を交換する取引
・元本の交換は行われない

2.2. その他のデリバティブ取引

・デリバティブ取引の種類4:クレジットデリバティブ
クレジットデリバティブは、信用リスク(企業が倒産や破綻する可能性)を対象とするデリバティブ取引だ。従来、債務保証や倒産保険などでヘッジされていたものを国際的に統一し、広く流通可能にしたものがクレジットデリバティブである。

・デリバティブ取引の種類5:天候デリバティブ
天候デリバティブは、気温や降水量、日照時間などの気象変動によって企業が被る収入減に対応するデリバティブ取引だ。契約時に取り決めた気象条件が満たされると、補償金が支払われる。実損発生の有無や損害調査が不要で、比較的スムーズに補償金を受け取れる点が魅力といえるだろう。

3. デリバティブ取引のメリットとリスク

3.1. デリバティブ取引のメリット

・デリバティブ取引のメリット1:少ない資金で多額の取引が可能
メリットの1つめは、少額の証拠金の預託で取引をスタートできる点だ。少額から始められるため、投資予算が少ない人でも始めやすいといえるだろう。

・デリバティブ取引のメリット2:夜間でも取引可能
メリットの2つめは、夜間でも取引が可能な点だ。2021年10月時点におけるデリバティブ取引時間は、以下のとおりだ。

▽デリバティブ取引時間

デリバティブ取引例 取引時間
指数先物/指数オプション 8時45分~15時15分/16時30分~翌朝6時
日経平均VI先物 9時~15時15分/16時30分~9時

・デリバティブ取引のメリット3:価格変動リスクの回避手段になる
メリットの3つめは、1.4.でも触れた現物取引に対するリスクヘッジの効果だ。たとえば、すでに保有している株式の価格が今後下がるかもしれないと考えるなら、先物取引で現在の価格での売りを入れるとよいだろう。そうすることで値下がりにより被った現物株式の損失を先物取引の売りで得た利益によって相殺することができる。

3.2. デリバティブ取引のリスクと失敗しないための対策

・デリバティブ取引のデメリット1:取引内容が高度化しているため内容理解が必須
ここまで説明してきたように、デリバティブ取引は商品や取引によって仕組みが異なる。商品内容をしっかりと確認せずに取引を始めると、思わぬ価格やタイミングで売買が発生し、予想外の損失を被る、といった事態になりかねない。

・デリバティブ取引のデメリット2:大きな損失が発生するおそれがある
デリバティブ取引では、損失が大きくなる可能性には十分に気をつけなければならない。レバレッジをかけた取引では大きなリターンが狙える一方で、投資家の支払い能力を超える大きな損失が発生する可能性もあるのだ。

2019年9月10日:仮想通貨2協会が暗号資産取引に申告分離課税を要望<税制改正>|ニュース

金融商品のデリバティブ取引は税率20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税だが、
現行の暗号資産の取引における課税方式は総合課税とされており、最高税率55%
(所得税45%、住民税10%)にのぼる。そこで、課税の公平等の見地から金融商品デリ
バティブ取引同様に、暗号資産に関しても申告分離課税へ変更するとともに、他のデリバテ
ィブ取引との譲渡損失の損益通算や3年間の譲渡損失繰越控除を認めることを強く要望した。
また、少額の決済については、課税対象としない少額非課税制度を設けるよう要望。

そのほか、日本仮想通貨交換業協会では、上記の法改正に伴って暗号資産のデリバティブ
取引の取扱業者に対しては税務当局への支払調書の提出義務が課されることになるが、個人
番号の取得等の入手に時間がかかると予想されることから、支払調書への個人番号記載に
ついては法改正後3年程度の猶予期間を設けることを求めている。

ご相談・お問合せは無料です。お気軽にご相談・お問合せください

事業を継続させる経営計画の立て方・活かし

相続は突然やってくる! 事例でわかる相続税の生前対策

企業の成長をサポートする豊島区池袋の会計税理士事務所 久米会計事務所/REALIZEグループ
東京都豊島区南池袋2-18-2 池袋南ビル2階
TEL:03-5927-9741 受付時間:平日9:00-17:00(土日祝を覗く)

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次
閉じる